以下は、『ラジオドラマ脚本入門』(北阪昌人 著、映人社)から、北阪さんの提唱されている「JOB構成法」についての抜粋的要約。キーワードは「構成とプロットと“たくらみ”」。
構成を考えるときに大切なのは、時間経過を書くのではなく、ストーリーをなぞってはいけない。要はプロットを書くこと。
「JOB構成法」……箱書きに代わる台本作製法
J……人物 だれか?
O……音 雨降り? 無音? 音楽は?
B……舞台 どこが舞台か?
このJOBの下にプロットを重ねてゆく。
例:男は別れ話をしようと思っている。女はプロポーズを待っている。
…これをミルフィーユのように重ねてゆく。
以上が、構成上の「素材」になる。
これを書き終えたら、次は届けたいセリフあるい届けたい思いをシークエンスごとに書きたしてゆく。
全体が見えたら、書きだす。ただし、書き込みすぎない。
書くモチベーションは、新しい遺跡を発掘する考古学者のように、未知のものにチャレンジする力なので、構成はあくまで青写真。ずれても変わってもいい。書きはじめるときに、とらわれるものは少なければ少ないほどいい。
決められたコースを最後まで新聞を配りぬく。これが「ストーリー」。そして、配っている間の要所要所でいかに単語を覚えるかを考える。これが「プロット」。
ドラマはただストーリーを負うものではなく、そこに「たくらみ」「策略」があり、気がつくと、ハラハラしたり、何かを得たり、物語が終わると、心に何かが残っている。あるいは、時間を忘れる瞬間がある。
そこに「たくらみ」はあるか? ストーリーを追うことばかり考えていないか? 「構成」とはその「たくらみ(=プロット)」の(効果的な配置をおこなう)ことと言っていい。
例:手紙を媒介に心の内面に迫る。それができたら、ラジオならではの「言葉」を導きだせる。手紙の間をつないでゆくのは、心象風景にも思える天草の描写。なるべく少ない言葉で印象的な表現にする。川の音、トンビの声、雑踏、笑い声などをちりばめ、なるべくリスナーに想像してもらえるように作る。